2017年5月19日金曜日

「横尾忠則 HANGA JUNGLE 展」 町田市立国際版画美術館

今回はJR・小田急線の各町田駅から徒歩15分ほどの町田市立国際版画美術館をご紹介いたします。
豊かな緑と水の中に彫刻が点在する芹が谷公園の中に位置しているので、公園の散策もかねてお出掛けするのをおすすめします。
6月18日(日)まで、「横尾忠則 HANGA JUNGLE 展」を開催中です。
この展覧会には、一般観覧料金800円のところぐるっとパスだけで入場できます。
横尾忠則(1936年生まれ)は、1960年代から今日まで「HANGA」の制作に積極的に取り組んできました。
この展覧会は「版画」の枠を超えた横尾の作品群を「HANGA」と称し、横尾の創作活動の全貌に迫ることを狙いとしています。
新作を含むほぼ全版画に相当する約230点と、これまでポスターと見なされてきた「版画」作品約20点を合わせ、約250点を展示します。
Ⅰ「1968~70 制作プロセスの作品化 版と刷り」の展示風景
展覧会の構成は7章からなりますが、最初は1968~70年代の作品が展示されています。年代ごとに展示は進んでいきますが、横尾の直感と衝動によって森羅万象を描いた作品群がジャングルのように並んでいて見る者を圧倒します。
直感で作品のパワーを感じ取りながら、見すすめていくのが良い鑑賞方法だと思います。
左から「責場 A」1969年 「責場 B」1969年 「責場 C」1969年
自覚的・本格的に版画の制作に取り組み始めたといえる、3枚1組の「責場」。
全ての像が未完成の状態で示され、制作のプロセスを作品化した版画となっています。
Ⅱ「1973~74 楽園幻想と千年王国」の展示風景
Ⅲ「1980~84 画家宣言 ドローイングからペインティングへ」の展示風景
Ⅴ「1986~91 名画の引用 私的絵画へ」の展示風景
Ⅵ「1990~現在 今昔物語」の展示風景
左から 文化人切手シリーズ1「夏目漱石」1999年 文化人切手シリーズ2「樋口一葉」1999年 文化人切手シリーズ1「野口英世」1999年 全て逓信総合博物館
左「W Wonderland」1973-1995年 右「W Wonderland Ⅱ」1973-1995年 
「W Wonderland」のシリーズには横尾における自作の引用と変奏が極めて端的に現れています。前出のⅡ「1973~74 楽園幻想と千年王国」の展示風景に出てくる作品中にも「Wonderland」のモチーフが見られます。
左から「抱擁」2007年 「新輯版 薔薇刑」2007年 「胡蝶の夢」2007年
細江英公の写真作品を用いた一連の作品。
Ⅶ「HANGA ポスター?版画?」の展示風景
THE横尾忠則といった作品が並んでいます。

次から次と並んでいる、横尾忠則の版画の世界は、まさにジャングルのように襲い掛かってきます。その中を分け入り、さまよいながら、作品と対峙していくと、ふと気がけばすっかり横尾ワールドの住人となって、その作品世界と一体感を覚えていることに気付かされます。
町田から離れている方も、足をのばす価値がある見ごたえ充分の展覧会です。
あなたもぜひ、HANGA JUNGLEへ冒険に出掛けてみませんか?

町田市立国際版画美術館
HP http://hanga-museum.jp/
「横尾忠則 HANGA JUNGLE 展」
会期:2017年4月22日(土)~6月18日(日)
休館日:月曜日
開館時間:平日10:00~17:00 土日祝10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般800円、大学・高校生・65歳以上400円、中学生以下は無料
この展覧会には、一般観覧料金800円のところぐるっとパスだけで入場できます。


★ぐるっとパスは、1冊2000円で80の美術館・博物館などの入場券又は割引券が綴られた便利でお得なチケットブックです。使用開始日から2ヶ月間利用可。
詳細はこちらの公式HPをご覧ください。