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2016年8月19日金曜日

「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」 東京都美術館

東京都美術館では10月2日(日)まで、開館90周年記念展「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」が開催されています。
一般入場料800円がぐるっとパスだけで入場できます。

1926年に上野公園に開館した東京都美術館の開館90周年を記念して企画された展覧会です。
「木と再生」をキーワードに、現代作家5名ー國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、舟越桂ーの木をモチーフとした多様な表現の作品が並びます。

5人の作家の作品を紹介していきます。
《牝羊》2012年 ギャラリーelectric sheep蔵
まずは土屋仁応の独特の世界観をもった作品。
動物や幻獣の木彫を作成し、幻想的な世界を展開している作家です。
土屋仁応の作品が展示されている空間には独特な雰囲気が形成されていて、観る者は自然とその空気に包み込まれていきます。
《麒麟》2016年 作家蔵
《獅子》2016年 作家蔵
この展覧会のための新作3点のうち2点。

次は須田悦弘の作品です。
《バラ》2016年
《バラ》2016年
初めて見る方は、これが木を彫って創り出されたバラなのだと、言われなければ絶対にわからないようなそんな非常に緻密な作品です。
《ユリ》2016年
《朝顔》2016年
須田悦弘の作品はこれらの他にあと2点、計5点出品されています。
ひとつのスペースに全てが展示されているのではないので、出品リストをたよりに鑑賞者自ら探し出さなければなりません。
展示室を出た「美術情報室」や「アートラウンジ」にも展示されています。
必ず、5点すべてを見つけてコンプリートしてみてください。

そして次は対照的にダイナミックな國安孝昌のインスタレーション作品です。
《CHI VA PIANO VA LONTANO 2016(静かに行く人は、遠くへ行く。)》2016年


木材と陶ブロックで、生命力溢れる巨大なインスタレーションを手がける國安孝昌。
東京都美術館の展示室をまったくの異空間へと変貌させてしまっています。
でも、それは暴力性を感じさせるものではなく、自然の造形のようにやさしく侵食しているようです。

次に田窪恭治の廃材に金箔を貼るシリーズの作品。
《巨船アルゴー》1983年 一般財団法人草月会(東京都現代美術館寄託)
手前《イノコズチ》1985年 宇都宮美術館蔵
奥《廃墟》1985年 愛知県美術館蔵
《感覚細胞―2016・イチョウ》2016年
この展覧会のための新作。
大イチョウの周辺にコルクと呼ばれるコルテン鋼のオリジナル・ブロックを敷き詰めています。樹木と赤い鉄の対照が整然として美しい作品です。
*観覧時間は10:00~17:00となります。


最後は肖像彫刻や「スフィンクス・シリーズ」などの異形の人物像により、彫刻表現の新境地を開拓し続ける舟越桂の作品です。
《海にとどく手》(部分)2016年 作家蔵
こちらがこの展覧会のための新作です。
左《海にとどく手》2016年のためのドローイング 2016年 作家蔵
《森の奥の水のほとり》2009年 個人蔵
《遠い手のスフィンクス》2006年 高橋コレクション

5者5様の作品、一見手法もそれぞれの主張するものも違うように見える作品をつなぎとめているのはその素材としての「木」。
それぞれの作家が「木」という素材を選んで表現していることの共通性が、この展覧会を観終えたひとに訴えかけてくるものを強固にしている気がします。

バラエティに富みつつ、ひとりひとりの作家のクオリティの高い作品を一堂に鑑賞できる機会を与えてくれるとても見ごたえのある展覧会です。ぜひ、お見逃しなく。

開館90周年記念展
「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」
会期:2016年7月26日(火)~10月2日(日)
休館日:月曜日(ただし9月19日(月・祝)は開室)
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日は20:00まで。ただし9月9日(金)、10日(土)は21:00まで。9月23日(金)、30日(金)は17:30まで(入室は閉室の30分前まで)
観覧料:一般800円(65歳以上500円、大学生・専門学校生400円、高校生以下無料)
会場:東京都美術館
特設サイト

この展覧会へはぐるっとパスで入場できます。



★ぐるっとパスは、1冊2000円で都内79の美術館・博物館などの入場券又は割引券が綴られた便利でお得なチケットブックです。
詳細はこちらの公式HPをご覧ください。












2016年8月15日月曜日

「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」 上野の森美術館

上野の森美術館では8月23日(火)まで「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」が開催されています。

世界中で高い人気を誇るイギリスのファッションブランド、ポール・スミス。
2013年11月にロンドンのデザイン・ミュージアムで開幕した「HELLO,MY NAME IS PAUL SMITH」がヨーロッパ各地を巡回し、いよいよ日本にやってきました。

この展覧会では、ポール・スミスの第1号店となったショップやオフィスの再現、写真や手紙のコレクション、ポール自身の頭の中を表現した映像インスタレーションなど、約2800点の膨大な展示品を通じて、美術、ファッションなど多角的な視点から楽しめる構成となっています。

ポール・スミスのデザインのファンの方、モードに関心の高い方には、注目度の高い展覧会だと思います。
ポールのクリエイターとしての、発想、ライフスタイル、仕事に迫る展示内容から、クリエイティヴィティとは何かを身近に体感できる点が、この展覧会の最大のおすすめポイントです。


「コラボレーション」の中の初期の代表作。ローバー社(当時)のミニ。今回、日本での展示用に新たに装飾され、世界初公開だそうです。
この展覧会で私がもっとも気に入った展示品のひとつです。
ミニ・クーパーは好きな人にとっては特別な車ですよね。
次にご紹介したいのはカラフルなボタンが一面に貼り付けられた壁です。
個々を集めることで新たなアートを表現したそうです。

今回の展覧会ではすべての展示品が撮影可能です。
あなたも携帯やカメラで思い思いの写真を撮りながら、この展覧会を楽しむことができます。
また来場者全員に展覧会オリジナルイヤホンがプレゼントされます。無料の音声ガイドサービスが用意されているので、手持ちの携帯で会場内のQRコードを読み取り、このイヤホンでガイドを聞くことができます。

展覧会は11のカテゴリーから構成されています。
「ポールのアートウォール」
ポールの絵画や写真のコレクションを紹介しています。アンディ・ウォーホル、デビット・ホックニーやバンクシーなど有名アーティストのものもあれば、友人や家族から贈られたもの、一般のファンから贈られたものまで多彩です。
「ポール・スミス1号店」
1970年、ポールはイギリス・ノッテンガムに3m×3mの広さで週に2日だけのショップをオープンしました。
ポールのファッション・デザイナーとしての第一歩です。
当時のサイズをそのままに再現したものです。
「ポールのオフィス」
ロンドンのコヴェントガーデンにあるポールのオフィスを細部にわたって完全再現したものです。
彼のインスピレーションの源になっているものたちであふれています。
「ポールの頭の中」
ポールはさまざまなアイディアを頭に残しておくために、カメラで撮影したり、ノートに書き留めたりしています。
そのときに彼の頭の中に浮かんでくる数えきれないほどのイメージを映像インスタレーションで表現しています。
「デザインスタジオ」
ポール・スミス社のデザインスタジオが完全再現されています。
「ホテルのベッドルーム」
パリにある、とあるホテルのベッドルームが、ポールにとってはじめてのショールームとなりました。
ここでは当時のベッドルームの再現とエピソードを紹介しています。
「プロモーション」
11歳の頃から写真を撮り続けているポールにとって、写真は趣味の一つであり、いわばポールの視覚の日記といえます。
ポール自身も広告キャンペーンのために撮影したこともあります。
また多くの有名カメラマンたちがポール・スミスの広告キャンペーンの撮影を行ってきました。
ここでは、掲載された雑誌やパネルなどを通じて、プロモーションの写真などを紹介しています。
「コラボレーション」
ポールは、多くのジャンルとコラボレーションをしてきましたが、初期の代表例は最初にご紹介したミニです。
その他、オートバイ、スノーボードなど、さまざまなコラボレーション作品が展示されています。
「ショップ」
ポール・スミス社では、全てのショップを1軒1軒デザインしています。世界のショップの紹介に合わせて、ショップに対するポールの思いや考えを紹介しています。
「コレクション」
ポールの作る洋服には伝統と現代性が共存し、ひねりのきいた伝統に基づいて考えられています。
過去のコレクションから、2016年の春夏コレクションを含む、さまざまなラインナップが展示されています。
「ファッションショー」
この展覧会の最終章として、モニターでポールのショーに対するインタビューや、実際のショーの様子を映し出しています。
展覧会の最後はポール自ら、「GOODBYE」と送り出してくれます。
ミュージアムショップではマグカップ、Tシャツ、ノート、缶バッヂなどさまざまなグッズが販売されています。
展覧会を訪れた記念やプレゼントを探してみてはいかがでしょうか。
*一部商品は売り切れになる可能性がありますのでご注意ください。


「ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」
会期:2016年7月27日(水)~8月23日(火)
休館日:なし
開館時間:11:00~18:00※金曜日、18~22日は20:00まで(入場は30分前まで)
観覧料:入館料1,500円 (大高生1,200円、中小生500円)
会場:上野の森美術館
特設サイト

上野の森美術館には、ぐるっとパスを割引券としてご利用いただけます。
※大人料金より100円割引


★ぐるっとパスは、1冊2000円で都内79の美術館・博物館などの入場券又は割引券が綴られた便利でお得なチケットブックです。
詳細はこちらの公式HPをご覧ください。











2015年12月9日水曜日

特別展 朝倉彫塑館80年 「我家吾家物譚(がやがやものがたり)」 朝倉彫塑館

日暮里駅から徒歩5分にある朝倉彫塑館では、12月23日(水・祝)まで「我家吾家物譚(がやがやものがたり)」が開催中です。
一般入場料500円がぐるっとパスだけで入場できます。

朝倉彫塑館は、彫刻家朝倉文夫が昭和10年から亡くなる昭和39年まで29年間、アトリエ兼自宅として使用した建物です。
RC構造のアトリエ棟の西洋建築と、竹をモチーフとした数寄屋造りの日本建築により構成されています。
まず、アトリエに入ると、入口では代表作のひとつ「墓守」が出迎えてくれます。
谷中天王寺の墓守をモデルとしたと言われています。
アトリエは広くて天井も高く、朝倉文夫の作品が並んでいます。


こちらも代表作のひとつ「三相」。
「智情意」を表した若い女性の群像。戦後の女性裸像の代表作です。
こちらは書斎です。壁いっぱい天井まで書棚が作りつけられています。
朝倉が収集家、コレクター心を持った方だったのだろうなと私が想像するのは、コレクションの品々が棚に収められていたからです。
これらの小さな壺は整髪用の油壷として使用されたもので、朝倉が妻やまに贈ったものだそうです。形やデザインも様々です。
現在でもほのかに鬢づけ油の甘い香りが漂っているとのことです。
書斎の次の間は応接室です。半円形のソファセットがあります。
応接室にも書棚が置かれています。彫刻家らしく骨格標本もあります。
書棚の本の背表紙を見て、大変貴重な書物が並んでいるのを見るのも秘かな楽しみになります。
訪れた方はぜひチェックしてみてください。
数寄屋造りの日本家屋部分は中庭を中心としてこのような趣ある廊下を歩きながら、各部屋をめぐることになります。
「天王寺玄関」朝倉家本来の玄関です。
中庭には立ち入ることはできませんが、池に鯉が泳いでいたり、置石の配置など工夫されていて、眺めているだけで癒されます。
朝倉彫塑館は順路をたどると、館をひとめぐりできるようになっています。(ただし雨が降っていない場合)
途中にミュージアムグッズを展示している場所もあります。
葉書や図録、箸置きやオリジナルトートバッグなどがあります。

階段を上って2階へ進みます。
「素心の間」
素心とは、いつわりのない心、かざらない心を意味します。落ち着いた風情の和室です。木の棚に壺が飾られています。
朝倉は生花を活けて飾るのを好んだとのことで、花器のコレクションも随所に見受けられます。
木の棚の扉のレリーフにも花瓶の花があしらわれていました。
朝倉の細部にわたる意匠へのこだわりが感じられます。
2階の展示室には現在猫をモチーフとした作品が展示されています。
3階に上ると「朝陽の間」があります。
その名の通り東に窓を大きくとってあります。広間として人が集う部屋だったようです。
3階から屋上庭園へ上る階段。
屋上庭園からはスカイツリーも見えます。
大きなオリーブの木があり、菜園があったり、薔薇などが植えられています。当時は屋上菜園として活用されていました。
現在でも、菜園があり大根や小松菜などの野菜が実際に栽培されていて、収穫もできるそうです。
「ウォーナー博士像」
男性像「砲丸」。
建物の入口前から見上げたところ。「砲丸」はアトリエ棟の屋上に配されています。
アトリエ棟の2階に位置する「蘭の間」は趣味の東洋蘭栽培の温室として設けられました。
朝倉文夫は愛猫家で、多いときには10匹以上の猫が飼われていたようで、愛猫をモティーフにした数多くの作品が残されています。
「蘭の間」では常時10体ほどの猫の作品が展示されているため、猫の間とも呼ばれます。
「親子猫」
「吊された猫」
往時の写真。
「蘭の間」の階段、手すり、床にも朝倉文夫のこの館へのこだわりが感じ取れます。直線と曲線の調和などに心を配っていたとのことです。
私は自然木を活かしたこの欄干と床のデザインがとても素敵に感じられました。

朝倉彫塑館では12月23日(水・祝)まで、建物に着目した「我家吾家物譚(がやがやものがたり)」が開催中です。
このテーマに合せた作品の展示の他、入館者用に朝倉彫塑館の見どころをまとめたチラシも配布されているので、ぜひそのポイントを押さえながら建物も楽しんでください。
人気の谷中ぎんざまで徒歩5分ほどです。谷中の散策ついでに朝倉文夫のこだわりの館を訪ねてみることをおすすめします。


朝倉彫塑館
HP http://www.taitocity.net/taito/asakura/
「我家吾家物譚(がやがやものがたり)」
会期:2015年9月19日(土)~12月23日(水・祝)
開館時間:9:30~16:30(入場は16:00まで)
休館日:月・木曜日(祝日の場合は翌日)
入場料:一般500円、小・中・高校生250円
一般入場料500円がぐるっとパスだけで入場できます。


★ぐるっとパスは、1冊2000円で都内78の美術館・博物館などの入場券又は割引券が綴られた便利でお得なチケットブックです。
詳細はこちらの公式HPをご覧ください。